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心理学エッセンス

発達・教育心理学分野

4年後を目指せ

奈田 哲也

2016.09.13
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 昨月はリオのオリンピック。そう、それは身体の限界を試す運動の祭典。感動しましたね。涙しましたね。4年後は日本です。今から鍛錬して、オリンピックにでようではありませんか。選手として。ということで、今月は、運動の秋も近いこともあり、身体・運動能力の発達に関してのお話です。

 厚生労働省の調査によれば、20歳男子の平均身長は、1948年で161.2cm、2014年では171.8cmとなっています。この66年間で平均身長が10cmほど伸びているわけです。これは女子や海外においても同様に見られる現象で、専門的用語で「発達加速現象」と言います。より細かく言うと、以前の世代と比べると、今の世代の方が、身長等が量的に増大していることを示す「成長増加現象」、より低年齢で第2次性徴が現れたりする質的変化の早期化を示す「成熟前傾現象」の2つが含まれます。なぜこのような現象が生じるかははっきりとは分かっていませんが、工業化に伴って生じたことや、地方よりも都市部で見られやすいことから、都市化による刺激やストレスの増加、栄養の豊富化、婚姻の対象の拡大による雑種化、などが原因と言われています。オランダ人男子の平均身長は183cmで、日本人男子の平均身長の171cmより12cmほど高いんですが、彼らは乳製品をよく取っているからだって話もありますし、やっぱり栄養って大事なんですね。

 このように栄養等により、身体発育が促進され、以前より体格が向上している一方、文部科学省の調査によれば、青少年の運動能力は、 50年前と比べた場合、かなり低下しています(ここ10年ほどの結果と比較すると緩やかに上昇しているものもある)。例えば、10歳男子のソフトボール投げの記録は、1964年は30.38mでしたが、 2013年は24.45mと6m程の低下が見られます。遊び場の減少や携帯ゲームの出現などにより、今と昔で子どもの遊び方が異なっていることが一因として考えられるでしょう。昔の子どもは、外で遊び、今の子どもは中で遊ぶ。外で木を昇ったりする際の何気ない行動が、筋力アップに繋がっているんですね。また、普段からの何気ない行動と言えば、段差などの物理的障害を排除していくバリアフリーが、子どもの筋力アップの機会を消失させているという話もあります。段差を乗り越えたり、水たまりを飛び越えるという普段の何気ない行動が密かに筋力をアップさせ、未来のオリンピック選手をつくっているわけです。体力・運動能力の高い子どもと低い子どもの二極化現象が大きくなってしまっているという現状が示しているように、親は、子どもに積極的に鍛錬の場を与えてあげることが大事になるわけです。

 まとめると、子どもをオリンピック選手にするには、親が適切な環境を用意してあげなければなりません。加えて、栄養をしっかりとらせることが大事になります。結局は当たり前の話でしたね。