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心理学エッセンス

社会・産業心理学分野

紅葉は美しい?

藤原 勇

2016.11.01
紅葉は美しい?

 11月に入り、京都でも木々が色づく紅葉の季節が近づいてきました。年中、観光客の多い京都ですが、この季節は特に観光客で賑わいます。また、京都では別のことでも賑わいをみせています。

 それは日本を代表する絵師の節目の年であるということです。たとえば、昨年の琳派400年に続き、今年は伊藤若冲生誕300年、尾形光琳没後300年にあたります。そのため、京都でも記念の特別展が催され、盛り上がっています。斯くいう私も休日は京都で紅葉見物や美術館巡りを楽しむ一人です。

 紅葉や美術品の美しさは多くの人を魅了します。では、人は何をもって美しいと判断するのでしょうか。たとえば、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」は美しい絵画として世界的に評価されています。私もそう思います。一方で「それほど美人じゃない」と評価する人もいます。もちろん、「モナ・リザ」の美しさは、美人かどうかだけで判断されているわけではありません。スフマートや空気遠近法などの絵画技法の素晴らしさのためという意見もあります。理由はどうあれ、人によって美しいかどうかの判断が分かれることはよくあります。

 バーラインという研究者によると、美的価値の判断には2つの要因が影響しています。それは「快楽傾向」と「不確かさ・覚醒」です。たとえば、ごちゃごちゃしすぎて複雑な対象の場合、頭を使いすぎて疲れてしまい、不快に感じます。また、シンプルすぎて刺激が少ない対象の場合、つまらなくてすぐあきてしまい、不快に感じます。要するに、自分にとって刺激が適度な対象の場合に最も美的価値が高いと判断し、心地よく感じるということです。この刺激の適度さは人の興味・関心や考え方などによって異なります。たとえば、花より団子と考える人には紅葉見物はつまらないでしょう。私も子どもの頃はそうでした。また、美術品に対して造詣が深い人には素人作品は刺激が少なく物足りないことでしょう。私には、ピカソの「泣く女」という絵の良さがまだわかりません。しかし、今よりも美術に関する知識や関心が広がり、「泣く女」の刺激が私にとって適度なものになったとき、その美しさを感じられるようになるのかもしれません。

 勉強や仕事をすることにも同じようなことがいえるでしょう。最初はわからないことばかりで、つまらないと感じることがあるかもしれません。しかし、経験や知識が増えると刺激を受ける感受性が変わり、見える景色も変わります。そうすれば、勉強や仕事の中に面白さを感じられるようになるかもしれません。一度きりの人生、楽しむが吉。色々なことを学び、万物に美しさを見出せると、人生の楽しみ方も増えるのではないでしょうか。少々、大袈裟ですかね?