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心理学エッセンス

臨床心理学分野

「自分にはできる!」と思えること

中川 明仁

2017.11.24
「自分にはできる!」と思えること

 今年も残すところ1ヶ月近くとなりました。少し今年の初めの頃のことを思い出してみましょう。年の初めに「あれをやってみよう!」「これに挑戦してみよう!」と目標を立てた方も多いのではないでしょうか。目標を立てられた方は、その目標は達成できそうですか?目標を達成することは、その内容にもよりますが、中々に困難なことも多いですね。ある目標を立てて、それを達成するためには、日頃の自分の行動を変容させる必要があります。今回の心理学エッセンスの中では、行動を変容させる上で、1つの鍵となる心理学的な要因についてお話します。
 何か行動を起こす際には、できるだけ失敗はしたくないと思うものです。人は行動を起こす前に「その行動を上手く成し遂げることができるだろうか?」ということを考えます。これを心理学の用語で効力予期といいます。効力予期をどの程度持っているのか、つまり、ある行動を遂行することができる自信の程度を自己効力感(セルフ・エフィカシー)と呼びます。個人の中での自己効力感の程度が、目標を達成できるか否かの1つのポイントとなります。自己効力感が高ければ、目標を達成するための行動の継続にもつながります。しかし、自己効力感が高い場合ばかりではありません。それでは元々の自己効力感が低い場合、それを高めるためにはどうしたらよいのかについて考えてみましょう。
 自己効力感を高めるためには、自分自身の達成経験が重要です。小さな目標を設定し、目標を達成できた時の達成感(成功体験)を繰り返し経験することですね。自己効力感を向上させる上でこれが最も重要な要因とされます。次に自分と同じような状況にある人が、似たような目標を達成する場面を観察することです。「あの人にもできたのだから、自分にもできるのではないか?」と自信を高めることができます。第三に周囲からの言葉による励ましや声掛けです。周りの人から励まされたり、評価されることも本人の自信の向上につながります。そして最後に自分の生理的・情動的状態を認知することです。自分で「今、気分は落ち着いてるしリラックスできているな。」と理解することが、目標に取り組むための前向きな気持ちを持たせます。
 自己効力感は教育や臨床、健康など心理学のあらゆる場面の中での大切な概念です。たちばなエクールのさまざまな授業の中で取り上げられていますので、今回のお話を頭の片隅に置いておいてください。