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心理学エッセンス

発達・教育心理学分野

将来に思いをはせる

奈田 哲也

2018.01.30
将来に思いをはせる

 今は1月末で,すぐに2月ですね。ですが,まだ1月です。結局,言いたいことは,ついこの間新年を迎えましたねっていうことでして,皆さんは,新年の抱負を胸に日々の仕事や家事などに勤しんでいますよねってことです。
 人は,年が明けると,新年の抱負を立てるように,将来のことに思いをはせがちになるわけですが,こういった現実を踏まえて将来に思いをはせるような行為を,心理学の世界では,時間的展望(正確には,「現時点での状況や行動を過去や未来の事柄と関連づけたり,意味づけたりする意識的な働き」)と言います。そして,この時間的展望は,児童期から青年期にかけて質的な変化を遂げます。例えば,児童期を過ぎた頃から,子どもは,単なる憧れや空想ではなく,現実的に物事を考えられるようになります。その結果,高校生くらいに将来の夢を聞くと,公務員や教師など,現実的な職業を上げる生徒が多くなります。幼稚園の時には,ダースヴェイダーやパパのお嫁さんとか言ってたのにね。
 このように,時間的展望は,青年期あたりに獲得されることになるわけですが,この獲得は,乳児期における親との関わりが重要になるとEriksonは述べています。Eriksonは,乳児期において,子どもが,母親と信頼関係を上手くつることができると,最終的には,母親からだけではなく,他者からも受け入れられているという感覚(:一極性)を持つことができ,こうした他者への信頼が未来に希望を抱く土台となって,青年期において,時間的展望が獲得されることになると述べています。逆に,母親と信頼関係が上手くつくれないと,自分は駄目な存在らしいという感覚(:早熟な自己分化)を持ってしまい,青年期において,現実的な時間に対する感覚が麻痺し,刹那的に生きることになってしまう(:時間的拡散)と述べています。こういったように,母親との関係性を基盤にしながら,子どもは,様々な能力を獲得していくのです。
 また,こういった時間的展望は,定義に,過去の事柄と関連づけるといったことがあるように,過去に対する意識も大事になってきます。将来のことを考えて行動するだけではなく,その将来が思い通りにいかなかったりした場合に,そのことを受け止め,将来を修正していくことも,また必要になってくるのです。
 ということで,私が今年立てた新年の抱負は,もはや叶いそうもないということで修正しておきます。