「限定商法」の謎

永野 光朗(産業心理学分野)

 期間限定,数量限定,季節限定,顧客限定・・・・世の中の商売は「限定」だらけである。消費者の側から見たら「限定」とついていると「何となく買いたくなってしまう」という感覚はよく分かるし,売る側はとりあえず「限定」とつけさえすれば売れ行きが変わることを経験的に知っているということなのだが,心理学の立場から説明するとどうなるのだろうか?考えられる理由を列記してみよう。

①スノッブ効果
 「限定=手に入れにくい商品」であること自体が商品そのものの価値(いわゆる希少価値)を高めて購買の欲求を引き上げたり,それに対して支払う代価の上限を高める。そのような商品を所有することが個人を他者から差別化し自尊心を高めるという働きがあるためと考えられる。

②商品の品質評価への影響
 消費者が商品に対して行う品質評価は客観的事実よりは主観的判断に基づいており,しばしば商品それ自体の品質ではなく商品の外部的情報や購買の文脈に影響を受けてしまう。「限定商品」と言われると,客観的品質とは無関係に「手に入りにくい商品」であることが「品質が高いはず」という信念(思いこみ)を形成してしまう。「高価な商品は良い商品」と単純に考えるのも同様の仕組みといえる。

③リアクタンス理論
 「限定商品なので手に入れられない」と言われて自分自身の行動が制限されると心理的抵抗(リアクタンス)が生じて,それを振りほどこうとする行動(つまり商品を手に入れるという行動)が生じる。「自分の自由にならない」ことは不快感を喚起するのでそれを避けようとするからだと言われている。回りの人から「そんなことはやめろ!」と言われるとますますやりたくなるし「必ずこれをやれ!」と言われたとたんにやりたくなるといったように,このメカニズムは人間のさまざまな行動に当てはまる。

 消費者の立場にたてば以上のような理屈(心理学的理論)を知っていることは冷静な購買行動につながるかもしれない。消費者心理の研究は「商売の武器」になると同時に「賢い消費者」を育成するための消費者教育の基礎にもなるのである。
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