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子どもも大人も、安心できる学校づくりをめざして
在学生 角田眞章さん
正科生3年次編入学
小学校校長
子どもや教員との関わりのなかで、
自然と「心理を学ぶ」結論に行き着いた。
ときに教員は、子どもから深刻な相談を受けることがあります。「死んでしまいたい」「消えてしまいたい」。そういった言葉に対して、どんな対応をすればいいのか、どう寄り添えるのか。自分の発言や行動が一人の命を左右する重みを年々強く感じるようになったため、心理について独学で学び、学校心理士やガイダンスカウンセラー、SNSカウンセラーといった資格を取得しました。特にSNSについてはなじみがなく、使用上の注意点や精神的影響について非常に勉強になりましたが、いずれも教育現場における事例が中心。一人の人間と向き合うためには、もっと包括的に心理を学ばなければ不十分だと感じました。また、近年は教員が心の病にかかってしまうケースも増えています。子どもも大人も含めて「人間そのものへの理解」を深めるため、大学で本格的に心理学を学びたいと考えるようになりました。
生徒の様子を観察し、異変を察知する。
そのためのヒントが、心理学にはある。
たちばなエクールの授業は、仕事が休みの土日に受講しています。そして連休など、まとまった時間が取れるときには一人合宿と称して、1日7時間ほどを学習にあてて一気に進め、遅れを取り戻すというリズムです。初心に帰り、「学生」として多分野の学びを楽しんでいますが、なかでも「心理学的支援法」など、対相談者との接し方にまつわる授業を中心に履修しています。例えば箱庭療法やプレイセラピーなど、被験者に自由に何かをしてもらい、その成果を分析することで心理状態などを分析する手法。これをそのまま小学校に取り入れるわけではありませんが、観察者側の心構えは非常に勉強になります。子どもが悩み相談に来てくれたときの行動・言動の裏に隠された本心や心理状態を、私がどれだけ細かく観察し、考察できるか。教室で、家で、公園で、塾で、何があったのか…。想像をめぐらせ、適切な対応をするためのヒントが、心理学の知見から得られます。
私は若い教員に対して「生徒を自分の子どもや弟妹だと思って接してほしい」と伝えています。とはいえ忙しい日々のなかで、全ての生徒と親身になって関わることは簡単ではありません。でも、口先だけで「頼ってほしい、相談してほしい」と言うだけでは限界がある。やはり普段から生徒をよく観察し、異変を察知できる力。そして何か悩みや問題があったときには真摯に向き合える姿勢が、自然と子どもに伝わり、子どもからそのご家族に伝わることで信頼関係が生まれ、家庭と学校でのより良い教育環境を構築できるのだと思います。
学校が、全ての人が前向きに生きる
スタート地点になれるように。
私はまもなく定年を迎えますが、この先も教育現場に関わり続けたいと考えています。たちばなエクールで学んだ知識はもちろん、キャリアを通じて培った知識、経験、人脈を駆使し、子どもも大人も関係なく、悩んでいる人の話を受けとめ、そこから抜け出すための一步を踏み出す助けになりたいのです。どういったかたちで引退後も役に立てるのか、いまは具体策を検討しています。
若い頃、中学校教員としてラグビー部の顧問をしていたときに、生徒から「先生とラグビーに出会って、人生が変わった」と言われたことが、私の教育姿勢の原点になっています。自分の行動や言葉の重み、影響力を肝に銘じて、相手に接すること。子どもに対しても大人に対しても、このことを忘れず、全ての人が前向きに過ごせる学校づくりに、少しでも貢献していきたいです。