教員紹介 総合心理学部

学部長
柴田 利男 教授
SHIBATA Toshio
- 専門領域
- 発達・教育心理学領域
- 担当授業
- 「発達心理学Ⅰ」「心理学概論」など
「人の一生涯」が学習対象。生きることを科学的に学ぶ
発達・教育心理学は、古くは発達=成長との観点から乳幼児や青年が研究対象でしたが、学問の科学的進化や高齢化社会に伴い、現在は大人も対象になっています。例えば、赤ちゃんの手の平に指などが触れるとギュッと握り返す原始反射は成長と共に消失します。一方、高齢者に言語能力や判断力の向上がみられるケースもあります。つまり、人は発達と衰退を同時進行していくため、人の一生涯の心とからだの時間的変化をさまざまな角度から検証していくことが求められます。もちろん、本学の受講者の多くが関心を寄せる子どもの発達については、遺伝的要因、家庭や学校といった環境的要因から知見を深めていきます。私は発達心理学を長年研究していますが、未熟な幼児にも発達障がいの子どもにも「世界」があり、本人にとってはモノの見方も行動も理に適っています。それゆえに、大人の常識や自分の考えで判断し教育を行うのではなく、一人ひとりを理解することが重要です。他者理解と自己理解は表裏一体のため、自分自身を見つめ直すことも必要でしょう。授業では私が教育現場などで行った調査事例も含め、できるだけリアルに学習できるよう工夫しています。
人の日々の営みのすべてに関わる心理学
心理学を学ぶことは「生きること」自体を科学的に考察することです。今の自分を理解する、老いていく自分に適応するための手がかりを得ることもできるでしょう。教育、臨床、福祉分野の方はもちろん、育児中の方、自分や自分の関わる人の人生における心理的行動的傾向の形成過程に興味関心のある方にも学んでほしいと思います。