在学生・卒業生メッセージ
教室に通いづらい子どもたちに、心理学の知見を活かして寄り添う
総合心理学部中学校職員
正科生1年次入学 卒業生 蓮井朋子さん

人生の残り時間でできることは何か。考えたときに浮かんだのが、心理学だった。
私は9年ほど前から中学校職員として働いています。当初は給食室の配膳スタッフで、生徒と直接接する機会はほとんどなかったのですが、コロナ禍をきっかけに、不登校はじめとした子どもたちの心の不調を間近で感じるようになりました。ちょうどその頃、私自身は50歳になり、「自分の人生はどれくらい残されているのか。体が動いて好きなことを楽しめる時間はどれくらいか」と考えるように。そんな折、ふと立ち寄った本屋で心理学の本を見つけ「心理学を学べば、学校で自分にできることも増えるかもしれない」と、半ば衝動的に心理学を本格的に学ぶことを決意しました。
中でもたちばなエクールを選んだ理由は、私には中学生、高校生の子どもがおり、平日は仕事もあるので通信制が便利だったから。スクーリングの通いやすさや、学費を他の大学と比較して、妥当だと感じられた点も決め手になりました。
心理学を学んだことで広がり、深まった新たなキャリア。
私の場合、たちばなエクールで心理学を学び始めたことでキャリアが広がりました。勤務している中学校では数年前から特別支援学級のスタッフを探しており、そこで発達心理学や障がい者の心理学などを学んでいる私に白羽の矢が立ったのです。そうして配膳スタッフと特別支援学級のスタッフとを兼任するようになり、昨年からは主にSSR※のスタッフを務めています。私がスタッフとして通っている教室は、所属するクラスに通うのが難しい子どもたちが登校してくる場所です。毎日数人、多いときには10人弱がやってきます。彼/彼女たちにとって、教室や学校はどうしても緊張してしまったり居心地悪く感じてしまったりする場所。そのため勉強の指導というよりも、学校や教室に少しずつでも通えるように心のケアをすることが先決です。心の安定なくして、学びへの意欲は生まれません。「今日は何の授業に参加してみる?どこまでがんばってみる?」と話し合いながら、教室復帰をサポートしています。
そんな風に朝から夕方まで働き、帰ってからは家事に追われる日々なので、たちばなエクールの授業を受けるのはもっぱら中学校の長期休暇期間です。夏休み・冬休みに、集中的に勉強しました。
私は4年制の大学を卒業していないので、レポートの作成や提出も全くの初めて。履修登録や単位取得には苦労しましたが、心理学の授業はどの分野も非常に面白かったです。特に、行動分析や発達心理の知識は、教室の現場で非常に役立ちました。大人の私には理解しづらい、子どもたちの不安定な情緒や行動も、心理学の知識を借りることで客観的に理解、対処しやすくなりました。
※不登校や教室での集団生活が難しい児童のための別室登校を支援する仕組み。
社会に役立つ学びと挑戦を。人生をより有意義に過ごすために。
たちばなエクールでは、学びだけでなく、グループワークで出会った仲間との出会いもかけがえのない財産となりました。いろいろな目的で学んでいる方がいて、それぞれのお仕事や家庭の事情も全く異なる。そんな仲間たちのがんばりを見て刺激を受ける中で、自分が今後挑戦したいことも明確になりました。
今は心理学の学びを深めて、大学院に進学してみたいと考えています。私自身、病気や家庭の事情で学校・仕事に通えない時期が続いた経験があるので、社会の役に立てていると感じられることが本当にうれしい。人生をもっと有意義に使うため、さらなる学びと挑戦を続けていきます。