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心理学エッセンス

社会・産業心理学分野

やりたいことがうまくできない
-自己制御の心理学から考える

石山 裕菜

2019.10.07
やりたいことがうまくできない-自己制御の心理学から考える

 4月、キラキラと胸いっぱいに希望を抱いて新しい生活に踏み出した方、「今年度こそはこれをやるぞ!」と美しい桜の花に誓った方、多くいらっしゃるのではないでしょうか。かくいう私も今頃は英語がペラペラになっているはずだったのですが……。

 やろうと思って、思っていた通りに行動ができることは、ほとんどないと思います(超人は除きます……)。やりたいことをしっかりとやれるかどうか、すなわち自分の行動を調整する能力のことを心理学では「自己制御(self-control)」と呼んでいます。この自己制御は私たちにとって大変重要なものです。Baumeister(2018)は人生に大きな影響を与える心理学的な性質を2つ挙げています。1つが知能、そしてもう1つがこの自己制御です。そんな自己制御ですから、私たちの行動に大きな影響を与えています。例えば、本当は明日のためにテスト勉強をしなければいけないのに、スマホアプリで遊んでしまうのも、やめなければいけないお菓子をついつい食べ続けてしまうのも、仕事があるのに、何故か急にお部屋のレイアウトを変えてしまうのも、全てこの自己制御が上手に働いてくれないからなのです。

 なぜ、自己制御は上手く働いてくれないのでしょうか?いくつか要因が考えられますが、そのうちの1つとして、報酬の「価値割引」が起こるためであると考えられます。例えば、学期末に良い成績をもらうことは大きな報酬です。そのため、良い成績を取ろうと、「授業に遅刻や欠席をしない」と目標を立てました。ところが、私たちは報酬までの距離が遠いとその報酬の価値を低く見積もってしまうのです。成績をもらうのが2月だとして、今が11月だとしましょう。そうすると、2月の時点では10点中10点の価値がある「良い成績」が、11月現在では例えば2点くらいになってしまうのです。もちろん、「良い成績」という報酬が自分にとって重要であるのはわかっているのですが、目の前の「温かい布団のなかでぬくぬく」するという報酬が例えば4点くらいであるために、「良い成績」を取ることよりも「温かい布団のなかでぬくぬく」することを優先してしまいます。しょうがないです。人間だもの‼

 ではどうしたら自己制御は可能なのでしょうか……(続きは10月20日の相談会@名古屋会場で‼)
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<引用・参考文献>
Baumeister, R. F. (2018). Self-regulation and self-control. New York: Routledge.
Green, L., & Myerson, J.(2004). A discounting framework for choice with delayed and probabilistic rewards. Psychological Bulletin, 130, 769-792.