MESSAGE在学生・卒業生メッセージ

在学生 朝倉桃子さん

子どもの可能性を目一杯引き出すための、心理学を

在学生 朝倉桃子さん
正科生3年次編入学

小学校教員

 

子どもとの向き合い方を知るために
心理学を学びたかった。

私が心理学に関心を持ったきっかけは、教育普及のボランティアを行うべく、青年海外協力隊として西アフリカのセネガルを訪れたこと。電気や水道などのインフラ設備がままならない厳しい環境でも、明るく前向きに生きる人々と触れ合う中で「心」のポテンシャルを感じました。それまで私は小学校教員として、主に文字の読み書きや問いの解き方を教えるといった「教育的側面」から生徒を指導してきましたが、帰国後は学級経営を行う担任教員として、一人ひとりの発達度合いを見極め、生徒たちの個性を伸ばしていけるように「心理的側面」からも子どもたちと関われるようになりたい、「心」について専門的に学びたいと思うようになりました。
海外ボランティアと学修を両立できるかという不安もありましたが、私は「高等教育を受けるか悩むことができる」という恵まれた環境にいるのだと気づいたとき、その幸運を十分に活かすことが自分の責任だと思い、入学を決めました。

相手が置かれている状況=心を
俯瞰できるスキルが、自分の余裕につながる。

心理学の知識は、教員としての心構えから実践に関わるものまで、幅広く私を助けてくれています。例えば、教員は生徒や保護者の方から厳しい言葉を投げかけられることがあります。そこで言葉をそのまま受け取ってしまうと、ときに心を病んでしまうこともあるでしょう。そうではなく、「相手はなぜこのようなことを言うのだろう」「相手が本当に伝えたいことは何だろう」と一歩引いて、背景の心理を分析する力を身につけることで、自分や相手が置かれている状況に対してより適切に対応できるようになります。また、発達障害の子どもを受け持ったときにも心理学の知見があると、生徒の特性や特性に合った教え方が思い浮かびやすく、指導もスムーズになります。
教育の現場は忙しいので、ともすれば目の前のことでいっぱいいっぱいになってしまいがちです。そこで心理学的視点を持つことで状況を俯瞰でき、余裕を持って課題に対処できるようになったことが、私にとって大きな成長ポイントでした。

人生経験を丸ごと学びに昇華できる。
それが心理学の面白さ。

実は私は「たちばなエクール」入学後、予期せぬ病気によるリハビリが必要になり、一時的に「学びたくても学べない」状況に陥りました。しかし通学の必要がなく、少し体力が回復すればまたすぐに自室で学びを再開できるという通信制のメリットが気持ちの上で大きな助けになってくれました。ほかにも職場の異動や出産など、さまざまなライフイベントを経験しながら、少しずつ心理学を学び進める中で最も強く感じたのは、「心理学の学びには終わりがない」ということ。人の心も、人を取り巻く環境も日々変わっていく。一度知識を身につけてしまえば良いということはなく、むしろそれらの知識を土台に、知見をアップデートし続けることが必要なのが心理学の奥深さです。実際、私自身の闘病や育児での実感が、授業での学びとリンクして強い納得感につながっています。
私には将来、心理職として国境なき医師団で活動したいという目標があります。適切なカウンセリングを受けられずに苦しんでいる人たちの助けになるべく、今後大学院への進学や公認心理師資格の取得などをめざし、さらなる学びに努めていきます。