MESSAGE在学生・卒業生メッセージ

卒業生 河野誉さん

ベテラン教員だからこそ、学び直しで自分改革

卒業生 河野誉さん
正科生3年次編入学

通信制高校教員

 

「もっと生徒に寄り添えるはず」。
その思いが学びの原動力に。

長年教員をしていると、生徒との年齢がどんどん離れていき、コミュニケーションに距離を感じてしまうようになります。また私が勤めている通信制高校は「さまざまなきっかけを理由に、全日制高校に通いづらくなってしまった」というような複雑な事情を持つ生徒が多いのも特長です。一方で私はキャリア支援部長という進路相談の責任者なので、もっと深く生徒を理解し、彼らに寄り添った対話ができるようにと一念発起して「たちばなエクール」への入学を決めました。
「たちばなエクール」は学費が定額制の、いわば学び放題のシステム。たくさんの授業を履修するだけお得感があるので、欲張りな私にはぴったりでした。学期の初めにシラバスを確認し、授業の概要を見ながら「どれを履修しようか」とパズルのように自分だけの時間割を作って、一つひとつ新しい知識を身につけていくのが本当に楽しかったです。

「自分以外を頼る方法を教える」
というサポートもあるのだと知った。

特に印象に残っているのは、グループワークがある授業。みんなで顔を合わせて「心」について多様な視点から意見を出し合える時間は刺激的でした。また、別の授業では現役の精神科医の方と同じグループになり「いま現場で働いている人でさえ、真摯に最新の知見を学び取ろうとしているのだ」とさらなる学びへのモチベーションになりました。
学びが仕事に活かされた例としては、「コミュニティ心理学」の活用があります。課題を抱える人を、相談室のような「点」だけでなく、学校や自治体など地域全体の「面」で支えていくという考え方ですが、この視点を活かして、生徒の悩みや相談内容に合わせて積極的に自治体窓口を薦めるようになりました。これまでは、自分が受けた相談は自分ひとりで解決しなければと考えていましたが、外部の専門家を紹介することで、より適切な助言を受けられ、相談者が頼ることができる相手を増やすことができます。相談者に「頼れる人が近くにたくさんいる」と気づいてもらうことが有意義なサポートになるという発想は目から鱗でした。

相談の受け手として必要なのは
「どう答えるか」ではなく、「どう聞くか」。

何より大きな収穫は「カウンセリング」などの授業を通して、「相談相手としての自分」を顧みる機会を得られたことです。例えば生徒の進路相談に応じるとき、彼らへの思いが強すぎるあまり、つい自分の考えや助言を押し付けるようなかたちになってしまっていたのではないかと気づいたのです。この気づきを得てからは、会話をしながら意識的に第三者の視点を持ち、「相手から求められているのはどのような対応か?」「自分が使おうとしている言葉は適切に選べているか?」など、状況を客観視するように。この反省は大きな転機となり、「たちばなエクール」卒業後には周囲の教員や家族から「話しやすくなった」とほめられ、相談を受ける機会が明らかに増えたのには驚きました。
心理学の視点を仕事に活かしつつ、リタイア後には子育て中の保護者のサポートにも関わっていきたいと考えています。子育て中の保護者は焦りや不安、孤独などで心が不安定になりがちですから、心理学の知見から親子を支え、安心して子育てできる地域づくりに貢献したいです。